記述試験の書き方(仮)
1,まえがき
法学部の試験では記述式の試験が出てくる。
その試験では、あるテーマについて自由に論ぜよとされている。
しかし、論ぜよと言われても、どのように論じればいいのか、すなわち、記述の仕方について教わったことがない(よくよく考えると、法的文章力を習得させる事だけが目的の授業はないと思われる)。
本稿では、私自身が法学畜になり、見聞きし、実際に活用している論述方法についてまとめている、はずである。その要点は、①条文、判例、学説を使う。②単なる事実と法的事実を区別する。③文章内に一貫性を持たせる。である。
法律と、プログラミング |
2,具体的な書き方
(1)条文、判例、学説を使うについて、例を示してみたいと思う。例えば、制限行為能力者について論ぜよというテーマが与えられた場合。
民法の基本原則(私的自治) → 意思無能力者について → 制限行為能力者(1,取り消し権及びその効果、2,制限行為能力者の類型(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)、3,制限行為能力者の詐術) → 結論
というようにまずテキトーに文章の流れを作る。この内1,取り消し権とその効果については、民法に規定があるので、
「制限行為能力者を保護するため民法は次のような保護を与えた。すなわち、制限行為能力者の行った法律行為を原則として取り消すことができるようにしたのである(民法5条、同9条、同1条、同17条)。この取消権が行使されると、取り消された行為は初めから無効であったものとみなす(民法121条)。」
みたいに、条文を根拠に示して論述していく。
また、この例だと、制限行為能力者の詐術について重要な判例があるので、その部分では次のように書く。
「3,制限行為能力者の詐術について、制限行為能力者の行った法律行為は先に述べたように、取り消すことができる。これは制限行為能力者を法律で保護性する必要性があることから認められている。しかし制限行為能力者が相手方に対して自身が能力者であると信じさせるために詐術を用いた時は、相手方の信頼と、制限行為能力者の帰責性を比較すると、そのような帰責性のある者を保護する必要性はないといえる。したがって制限行為能力者が詐術を行った場合、その法律行為を取り消すことはできない(民法21条)。この詐術とは、「無能力者が相手方に能力者たることを信じさせるため積極的手段を用いること」を言うのであり、「単に無能力者であることを黙秘しただけでは詐術には当たらない」のである。具体的には「被保佐人が保佐人の同意を得たと信じさせた時」などは積極的詐術に当たるため、制限行為能を理由とした取消権を行使することは出来ない。」
斜体のところが判例である(順に、大判大5年12月6日、最判昭44年2月13日、大判昭12年8月2日)。
(2)単なる事実と法的事実を区別するとは、事例形式で出題された場合、法的に対立があるところはどこかを考えることである。言い換えると、法律問題となるところには、何かしらの対立や紛争がある。この内、法的に解決が可能な部分のみを抽出することである。
争いのすべてを法的に解決することはできない。 |
(3)文章内に一貫性を持たせるについて、法律的に論述するとは、説得することでもあるので、これが一番大事な気もする。
3,感想
なかなか文章を書くのって難しい。なんだかんだ言って条文と判例と学説の理解が大事な気がする。
以上